市場価格と公定価格の拮抗のなかにみられるのは、イスラーム世界における政治と経済との間の緊張関係である。 公定価…
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共同体倫理と神の価格
公定価格の設定は、実質的な政治権力の市場への介入であった。これに対して、「神の価格」は公定(タスイール)を避け…
「法人」概念の希薄さと短期的な契約観
長期的な経済運営を実現するためには、資本の蓄積を必要とする。ところが、イスラーム世界では、信用を血の結びつきに…
マクリーズィーの社会分析
この経済危機を、同時代人として観察し、分析したのが、マクリーズィー(ca.1364~1442 年)である。* …
世界各地の経済発展の多径路とそれらの関連性
グローバル・ヒストリーは一国史観とヨーロッパ中心史観への反省のうえに立った議論である。 しかし、その理論枠が、…
イスラーム社会は高い流動性を特徴とする社会
ブローデルは、何代も続く大商人の家系の存在を資本主義の成長の条件として重視した。この考えに間違いはない。 しか…
賃貸契約はマンファア(用益権)の有償の売却
イスラーム世界では、賃貸契約が広範に普及し、そこでは、賃借者は賃貸者に対して強い権利を持った。賃貸はアラビア語…
イスラームにおける「公」と「私」
イスラームには、西欧近代と同じ意味での公と私の観念はない。 アラビア語で公と私に近い言葉として、「アーンム」(…
マンファア(用益権)は実質的な所有権
イスラーム法におけるラカバとマンファアは、通常、それぞれ所有、用益と訳される。 西欧近代法では、用益は所有の下…
イスラーム世界の経済社会に深く組み込まれている賃貸
賃貸はアラビア語でイジャーラ(ijara)と呼ばれる。 イスラーム法で賃貸契約の対象になったのは、さまざまな種…