生命系の経済論

日本の経済学者では、玉野井芳郎が先駆者である。彼は、「生命とは、生きていることによって生ずる余分なエントロピーを捨てることによって定常状態を保持している系」であると定義し(※I):引用 『生命系のエコノミー』)、経済学は、生きた系を対象とする広義の経済学に移行していくと指摘した。※II):「産業あるいは社会の根底には、人間と自然との物質代謝を繰り返される基礎的な領域、開放定常系の世界があり、その中に生態系のいとなみがある、(中略)そういう生きた系(living system)を社会科学がこれからさきどうしても原理的に問題としなければならない、おそらくそういう方向へと広義の経済学は眼を向けざるをえないだろう。」(『市場志向からの脱出』)


■参考文献
『市場志向からの脱出広義の経済学を求めて  玉野井 芳郎 一九七九年

『生命系のエコノミー』  玉野井 芳郎 一九八二年

★この記事はiCardbook、『なぜ経済学は経済を救えないのか(上)視座と理念の転換』を構成している「知識カード」の一枚です。

なぜ経済学は経済を救えないのか
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I. :引用 『生命系のエコノミー』
II. :「産業あるいは社会の根底には、人間と自然との物質代謝を繰り返される基礎的な領域、開放定常系の世界があり、その中に生態系のいとなみがある、(中略)そういう生きた系(living system)を社会科学がこれからさきどうしても原理的に問題としなければならない、おそらくそういう方向へと広義の経済学は眼を向けざるをえないだろう。」(『市場志向からの脱出』)