イスラーム経済の将来 その2

しかし、ここへ来て、状況の変化が見られる。2008年における金融危機、そしてそれに続くオイル価格の下落が、イスラーム経済にもネガティブな影響を与えている。また、長期的にみて、自然エネルギーの普及は、世界の石油依存を低下させるであろう。

将来、オイルマネーの背景を失っても、残りの21世紀において、イスラーム金融は生き延びることができるであろうか。その評価は、イスラーム金融が現代の金融資本主義に取り込まれず、現代資本主義の将来に対する不安に、イスラーム経済の「倫理と経済」の融合のビジョンをもってどう答えられるかにかかっている。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第一部第10章:運動としてのイスラム金融  加藤博(書籍工房早山、2010年)
探求――エネルギーの世紀(上・下)』  ダニエル ヤーギン 伏見威蕃訳(日本経済新聞出版社、2012年)
杉原薫「東アジア・中東・世界経済-オイル・トライアングルと国際経済秩序-」『イスラーム世界研究』第2巻1号、2008年


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック