資本主義が優位になるのは、18世紀後半にヨーロッパで産業革命が起こってからのことである。
この頃から、それまで互酬や再分配が優位だった部分にも資本主義のしくみが浸透し始めていった。その先駆けが労働力の市場化である。
囲い込み運動によって農村を追われた人々は、自らを労働力という商品として大都市に相次いで作られた工場に売り込んだのである。そして、他人との違いを打ち出していくらで労働力を売るか、工場の生産規模に応じていくらで労働力を買うかという労働市場が出現したのである。
参考文献:
『世界史のなかの産業革命―資源・人的資本・グローバル経済』 R・C・アレン 眞嶋史叙他(名古屋大学出版会、2017年)
『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.3 基本概念・基礎用語編』第3章第3節:ヒックスの経済史論 市場経済の形成と発展 加藤博(詩想舎、2020年)
□関連知識カード:
「近代の局面」:近代工業の勃興
近代資本主義経済の形成
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。
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