社会公正とヒスバ

イスラームにおける個と社会の関係を示す言葉として、ヒスバがある。

ヒスバとは、個のレベルにあっては、すべてのイスラーム教徒に義務として課せられる「善を勧め、悪を禁じること」を意味する。

しかし、社会のレベルにあっては、主にムフタシブの職務を意味した。ムフタシブはヒスバから派生した言葉で、市場監督官と訳される。

ムフタシブの主たる任務は、貨幣交換比率や主要農作物である小麦の相場変動を監視し、度量衡の検査、製品の質や価格についての監視、取引における不正行為に対する監視などによって、秩序ある市場運営を行うことであった。

参考文献:
イスラム世界の経済史』 第二部第3章第3節:公共空間としての市場  加藤博(NTT出版、2005年)
「ヒスバとムフタシブ-中世イスラームにおける社会倫理と市場秩序の維持」湯川武 『国際大学中東研究所紀要』Ⅲ、1987・88年

■関連知識カード/章説明他:
ムフタシブ


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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