イブン・ハルドゥーンの経済論は、市場経済を前提にしている。
通常の経済史の教科書では、農村に一定以上の余剰生産物が蓄積されることによって、都市が生まれるとされる。
その後、都市は拡大し、周辺の農村を支配するようになるが、それは都市が政治の拠点として農村を支配するからであって、都市自体はものを生産せず、消費をもっともとするため、農村がかわらず生産の拠点である。
ところが、イブン・ハルドゥーンにあっては、都市は農村の拡大によって歴史的に形成されるものではなく、はじめからすでに在るものである。まず都市ありき、なのである。
参考文献:
『イスラム世界の経済史』 補論:イブン・ハルドゥーンの経済論 加藤博(NTT出版、2005年)
『都市の原理(SD選書)』 ジェイン・ジェイコブズ 中江利忠・加賀谷洋一訳(鹿島出版社、1971年)
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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