理論は、検証と修正に常に開かれなければならない

以上、現代政治理論の三つのアプローチを批判的に検討し、「現象学=欲望論的アプローチ」の優位を論証してきた。

しかしこの点については、今後十分に検討していく必要があるだろう。そして、もしその検討過程で、上記三つのアプローチ以外にも重要な思考モデルがあった場合は、これまでに論じてきたことを随時修正していく必要がある。I):わたし自身は、右に批判してきた三つのアプローチとその融合、あるいはその〝系〟で、現代政治理論の思考モデルはほぼカバーできると考えている。たとえば、経済学者・哲学者のアマルティア・センは、わたしの考えでは、ロールズ的な「道徳・義務論的アプローチ」を支持しつつも、ロールズよりは「プラグマティックなアプローチ」を比較的重視している理論家だ。

■参考文献
『アイデンティティに先行する理性』  アマルティア・セン 原著一九九九年

 

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I. :わたし自身は、右に批判してきた三つのアプローチとその融合、あるいはその〝系〟で、現代政治理論の思考モデルはほぼカバーできると考えている。たとえば、経済学者・哲学者のアマルティア・センは、わたしの考えでは、ロールズ的な「道徳・義務論的アプローチ」を支持しつつも、ロールズよりは「プラグマティックなアプローチ」を比較的重視している理論家だ。