イジュティハードとは

これに対してイジュティハードとは、「努力をする」というアラビア語から派生した言葉で、法学用語としては、「新しい解釈の努力をする」という含意を持つ法手続きである。その言葉の意味から推測されるように、コーランとスンナの無謬性には立ちながらも、現実社会に適用可能な実定法的法規範を導き出す際に、より現実社会での必要性に重きを置いた弁証術である。*

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第一部第7章:イスラム金融と金融資本主義  加藤博(書籍工房早山、2010年)
イスラム法通史』  堀井聡江(山川出版社、2004年)

* したがって、イジュティハードは、先にイスラームの正義(公正)観について述べたときに指摘した、「社会福祉」とも「公共福祉」とも訳されるマスラハや慣行と訳されるウルフと親和性のある法手続きであり、そこでは、一般住民の日常生活に根づく社会慣行が多く反映された。

□参照知識カード:
マスラハとは
シャリーアを補助する規範群:カーヌーンとウルフ


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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