ドイツの社会学者のマックス・ヴェーバー(1864~1920)は、近代資本主義の登場の背景には、神から与えられた天職にひたすら励めというキリスト教のプロテスタンティズムの教えがあったと述べている。しかし、プロテスタンティズムは必ずしも金儲け自体を正当化したのではない。人々は、あくまでも来世での救いの確証を得るために、この教えに従って禁欲的に天職に励んでいただけであり、富の蓄積は予期せぬ副産物として生み出されたに過ぎなかったのである。
参考文献:
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 マックス・ヴェーバー 中山元訳(日経BP社、2010年)
『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』(第1章第1節:経済は宗教から逃れることができるのか? 加藤博(詩想舎、2020年)
□関連知識カード:
マックス・ウェーバーの経済と宗教
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。
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