ワクフと信託

財産を預かった管財人は、ワクフ設定者の指示どおりに、財産を使用し(運用し)、そこから得られた収益をワクフ設定者が決めた受益者に分配する。

ワクフのしくみ自体は、イギリスから始まった信託制度に近いものであるが、ワクフの場合は、ワクフ設定者の指示は、未来永劫変更ができないという点において、その縛りのない(永久拘束禁止則と呼ぶ)信託とは異なっている。また、一説には、信託制度の成立にはワクフの影響を強く受けているとも言われている。

参考文献:
高岩伸任「ワクフと信仰―イスラームと英米における「財産的取り決め」の比較・検討」『イスラーム世界研究』3(2)、 pp. 241-254、2010年. https://kias.asafas.kyoto-u.ac.jp/1st_period/contents/pdf/kb3_2/14takaiwa.pdf
Monica M. Gaudiosi “The Influence of the Islamic Law of Waqf on the Development of the Trust in England: The Case of Merton College,” University of Pennsylvania Law Review 136, pp. 1231-1261, 1988. https://www.jstor.org/stable/3312162?seq=1

 


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