先のロダンソンの議論における定義に従えば、イスラームの経済ビジョンとは、イスラームの「イデオロギーそれ自体」、つまりその時々の社会経済情況とは無関係に表出されるイデオロギーであり、それはコーランの規定に源を持つということになる。
それ以外の、コーランを核にして体系化された神学、哲学、法学などからなるイスラーム諸学は、「社会のためのイデオロギー」、つまり「イデオロギーそれ自体」を核として、その時々の社会経済情況を表現し正当づけるイデオロギーということになる。
参考文献:
『イスラームと資本主義(特装版 岩波現代選書)』 マクシム・ロダンソン(岩波書店、1978年)
『『コーラン』を読む(岩波現代文庫)』 井筒俊彦(岩波書店、2013年)
関連知識カード/章説明他: ザカート
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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