リーマン・ショックの発生

しかし、こうした状況は永遠には続かなかった。バブルが崩壊し住宅価格が下落し始めると、住宅を売却しても債権は回収できなくなり、巨額の資金をつぎ込んでいた投資銀行はたちまち不良債権を抱えることになった。最終的にはその不良債権が焦げ付き、巨額の損失を計上して投資銀行は倒産したり、整理されたりすることになり、アメリカの金融業界は大混乱に陥ったのである。

一連のできごとが「リーマン・ショック」の名前で知られているのは、こうした低所得層向けの住宅ローンに先頭を切って乗り出していたのが、倒産の憂き目に遭ったリーマン・ブラザーズだからである。

参考文献:
リーマン・ショック・コンフィデンシャル(上・下)(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)』  アンドリュー・ロス・ソーキン 加賀山卓朗訳(早川書房、2014年)
資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす(日経ビジネス人文庫)』  竹森俊平(日本経済新聞出版、2014年)

★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



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