金融資本主義の膨張

こうした実体経済からの離床によって、金融資本主義は自律的に富を増殖し続けるメカニズムを確立した。そして、人々は他の方法よりも手っ取り早く富を手に入れることのできる金融資本主義にこぞって群がったのである。その結果、金融資本主義の規模は実物経済の約4倍にまで膨れあがっていった*。特に、富裕層たちは金融資本主義で獲得した富を再び金融資本主義につぎ込み、巨万の富を手に入れたのである。

参考文献:
資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす(日経ビジネス人文庫)』  竹森俊平(日本経済新聞出版、2014年)

*「比較的最近(2009年)まで、株やローン等実物資産に対する金融資産は世界のGDP(54兆ドル)に等しかった。それが金融危機の直前は世界のGDPの4倍近くまで膨らみ、金融派生商品の想定元本総額は世界のGDPの10倍を超えるまで膨張していた。」(金融危機から何を学ぶか - 海外投融資情報財団 https://www.joi.or.jp/modules/downloads_open/index.php?page=visit&cid=11&lid=923

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



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