アダム・スミスの経済と宗教

マックス・ウェーバーの倫理(エートス)は、人々の日々の生活にエモーショナルな動機づけ(インセンティブ)を与え、秩序立った生活態度をもたらす、ダイナミックな活力の源泉である。これに対して、アダム・スミスの道徳(モラル)は、社会生活における学習や教育によって、所与として与えられる時間と空間の拘束の中で、無自覚な形で後天的に獲得されるものである。

アダム・スミスは、自由放任の市場主義の擁護者と考えられているが、近年では、彼は経済学者である前に道徳哲学者であり、市場の秩序ある運営にとって道徳は不可欠であると考えていた、と思われるようになっている。

参考文献:
『アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界(中公新書)』 堂目卓生(中央公論新社、2008年)
国富論(岩波文庫)』  アダム・スミス 杉山忠平訳(岩波書店、2000・2001年)
道徳感情論(岩波文庫)』  アダム・スミス 水田洋訳(岩波書店、2003年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック