ビンティの美談

類人猿はサルとは少し違う。一九九六年にアメリカのブルックフィールド動物園で、ゴリラを見ていた三歳の少年が堀に落ちて気絶する事件があった。オスゴリラが飛んできて、少年を引き裂いてしまうのではと誰もが凍りついた。すると、ビンティという名のメスゴリラが近づいてきて、少年を優しく抱き上げ、通路まで運んで飼育員に渡した。

おそらく、ビンティは自分の取った行動が子どもを救うと理解していたと思われる。


■参考文献
『ヒトの心と社会の由来を探る~霊長類学から見る共感と道徳の進化~』  山極寿一 (財団法人国際高等研究所、二〇一一年)

『家族進化論』第五章・第三節 仲間を思いやる心  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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