協 応

ベルンシュタインの理論の中の主要なコンセプトに「協応」があります。協応は体のそれぞれの機構が協調して一つの運動を作り出して行く仕組みです。※I):「協応とは、運動器官の冗長な自由度を克服する、すなわち運動器官を制御可能なシステムへ転換すること。」(P.43 ベルンシュタイン『デクステリティ 巧みさとその発達』 金子書房、二〇〇三年)

まずベルンシュタインが発見したのは、動物の身体というのは、自由度が多過ぎるということでした。運動を生成する時には、その自由度をむしろ制限することが必要とされます。そうやって運動の生成にはある種の緊張が必要であり、それが自由度をなくし身体を一つの運動へと導きます。

また、それは同時に身体の各部分の連動を促します。また身体システム的には、先に説明した四つのレベルがお互い運動を補完しあいながら、一つの運動を作って行くのです。この協調する機構のことを「協応」と言います。


■参考文献
『デクステリティ 巧みさとその発達』  ニコライ・アレクサンドロヴィチ・ベルンシュタイン 二〇〇三年

人工知能のための哲学塾』  第五夜・第四三章 人工知能に運動感覚を与える 三宅 陽一郎 二〇一六年

人工知能のための哲学塾 第五回 「メルロ=ポンティの知覚論」資料 三宅陽一郎 二〇一六年

★この記事はiCardbook、『<人工知能>と<人工知性>: —— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 』を構成している「知識カード」の一枚です。

人工知能と人工知性
人工知能と人工知性

アイカードブック(iCardbook)

 

 

   [ + ]

I. :「協応とは、運動器官の冗長な自由度を克服する、すなわち運動器官を制御可能なシステムへ転換すること。」(P.43 ベルンシュタイン『デクステリティ 巧みさとその発達』 金子書房、二〇〇三年)