多量にある葉を好むゴリラは個体間の食物競合が少ないため、まとまりの良い群れと平等的関係を形成し、縄張りを持たず、特定の地域に固執しない。
一方で、パッチ状に成る果実を好むチンパンジーはメンバーが頻繁に離合集散する社会をつくり、個体間の順位が顕在化し、自分の群れの縄張りに固執する、と説明されてきた。I):以上のようなゴリラとチンパンジーの生態的・社会的な特徴のコントラストが、両種間の競合を弱め、共存を可能にしたと考えられてきた。このような社会生態学的説明によるシンプルな共存メカニズム説は、八十年代に低地熱帯林での本格的調査が始まり、新たな事実が明らかになるまで、長らく幅を利かせてきた。
■参考文献
『ゴリラ 第二版』第六章 二つの類人猿——ゴリラとチンパンジー 山極寿一(東京大学出版会、二〇一五年)
『ゴリラ 第二版』第六章 二つの類人猿——ゴリラとチンパンジー 山極寿一(東京大学出版会、二〇一五年)
関連知識カード:人間平等起源論
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註
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