思考は人間を「自由」にする(デューイ)

「自由」の実存的条件を考えるに当たって、最も重要な契機はまず「思考」である。※I)第三章で「主と奴の戦い」について論じたが、この時、戦いに敗れ「奴」となった者の方が、結果として「主」よりも「自由」の可能性を見出していくことになると述べた(上巻・知識カード:「奴」と自由の契機)。その一つの本質的な理由が、「思考」にある。奴は「自由」を奪われているからこそ、どうすれば「自由」になれるかを考えるようになるのだ。

20世紀アメリカのプラグマティズムの哲学者、デューイは、無秩序な衝動・欲求を、自ら知性を持ってコントロールするところにこそ「自由」があることを繰り返し述べている。

■参考文献
『経験と教育』  ジョン・デューイ※ 原著一九二八年
※:米国の社会心理学者、哲学者、教育学者(一八五九~一九五二年)。哲学においてはチャールズ・サンダース・パース、ウィリアム・ジェームズとならぶ、プラグマティズムを代表する思想家。教育の分野では、「進歩主義運動」を指導。シカゴ大学で実験学校を設け、彼の理論を実践した。著書に、「学校と社会」(一八九九年)、「民主主義と教育」一九一六年)、「哲学の構造」(一九二〇年)、「論理学」(一九三〇年)等がある。[編集部]

★この記事はiCardbook、自由の相互承認 —— 人間社会を「希望」に紡ぐ —— (下)未来構築の実践理論』を構成している「知識カード」の一枚です。

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I. 第三章で「主と奴の戦い」について論じたが、この時、戦いに敗れ「奴」となった者の方が、結果として「主」よりも「自由」の可能性を見出していくことになると述べた(上巻・知識カード:「奴」と自由の契機)。その一つの本質的な理由が、「思考」にある。奴は「自由」を奪われているからこそ、どうすれば「自由」になれるかを考えるようになるのだ。