今西は、個体識別に基づく観察こそが、動物どうしのやり取りを記録する上で不可欠だと考えていた。
いくつかの哺乳類を相手にこの方法で調査を重ねた後、彼らは動物社会を研究する対象としてニホンザルを選んだ。そして開けた場所でサツマイモ、ムギ、ダイズなどを撒いてサルたちをひきつけ、研究者が近くで観察できるように餌付けを始めたI):終戦後今西は無給講師として京都大学に戻り、一九四七年に宮崎都井岬で半野生馬の調査で個体識別を試みた。ところがそこで野生のニホンザルの群れに遭遇し、サルの群れの方が研究対象として優れていると考える。一九五二年に都井岬近くの幸島と大分県高崎山でサルの餌付けが成功し、個体識別に基づいたサルの社会学的研究が本格的に開始された。[編集部]。
■参考文献
『高崎山のサル』 伊谷純一郎(講談社学術文庫、二〇一〇年)
『ニホンザルの生態』 河合雅雄(河出書房新社、一九六九年)
「霊長類研究グループの立場——ニホンザル研究の跡づけ——」 今西錦司(『今西錦司全集 第七巻』所収[八〇~九九ページ] (講談社、一九九三~九四年)))
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註
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