大脳化

早期離乳と多産と同時代に進化したもう一つの人類の特徴が「大脳化」である。大脳化が始まったとされる約二百万年前、人類は幼年期の体の成長を遅らせ、脳の成長を優先させるようになった。I):ヒトは他の動物に比べ脳がきわめて大きい。ヒトの進化の過程で、アウストラロピテクス(約 五〇〇CC)、ホモ・エレクトゥス(約九五〇CC)、ホモ・サピエンス(約一三五〇CC)へとしだいに大きくなる傾向があった。そして現代人の成人の脳は約一五〇〇〇CCで、ゴリラの約三倍である。中枢神経のうち大脳が絶対的、相対的に大きくなっていく現象を「大脳化」という。脊椎動物のうち魚類では大脳はごく小さく、かつその外面は旧皮質のみ。ところが、両生類で古皮質が加わり、爬虫類でさらに新皮質が加わる。哺乳類ではこの新皮質が大きくなり、特にヒトでは大脳半球が人類進化の諸段階を経て脳の大部分を占めるようになった。[編集部]

この頃から赤ん坊は非常に高い体脂肪率で生まれるようになり、その脂肪エネルギーの多くを脳の増大に費やしたのである。


■参考文献
『家族進化論』第四章・第十節 脳の大きさと生活史の変化  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

 

関連知識カード:(上巻)肉食の導入(上巻)火の使用と脳の増大

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I. :ヒトは他の動物に比べ脳がきわめて大きい。ヒトの進化の過程で、アウストラロピテクス(約 五〇〇CC)、ホモ・エレクトゥス(約九五〇CC)、ホモ・サピエンス(約一三五〇CC)へとしだいに大きくなる傾向があった。そして現代人の成人の脳は約一五〇〇〇CCで、ゴリラの約三倍である。中枢神経のうち大脳が絶対的、相対的に大きくなっていく現象を「大脳化」という。脊椎動物のうち魚類では大脳はごく小さく、かつその外面は旧皮質のみ。ところが、両生類で古皮質が加わり、爬虫類でさらに新皮質が加わる。哺乳類ではこの新皮質が大きくなり、特にヒトでは大脳半球が人類進化の諸段階を経て脳の大部分を占めるようになった。[編集部]