ワクフの歴史

ワクフの起源は、8世紀末から9世紀にかけての時代にさかのぼると言われている。そして、11世紀以降にイスラーム世界全域に普及していった。今のトルコのイスタンブルに首都を置いたオスマン朝(1299~1922)時代には、ワクフがさかんに用いられたことが知られている。

しかし、近代に入ると、ワクフは前近代の非効率な制度の象徴とされ、ワクフ財産が国有化されたり、国家の管理の下に置かれたりしていった。中東諸国の中には、一部のワクフの制度自体を廃止するところも出てきた。このように、20世紀が終わるころまでには、ワクフは、歴史的な遺産に成り下がってしまっていた。

参考文献:
「ワクフ」林佳世子 『岩波イスラーム辞典』  大塚和夫他編(岩波書店、2002年)
高岩伸任「ワクフと信仰―イスラームと英米における「財産的取り決め」の比較・検討」『イスラーム世界研究』3(2)、 pp. 241-254、2010年. https://kias.asafas.kyoto-u.ac.jp/1st_period/contents/pdf/kb3_2/14takaiwa.pdf

 


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