ヒトに固有な積極的食物分配は、人類進化のどの段階で進化したのだろう?
おそらく、人類の祖先がサバンナに進出し、食物の枯渇と強い捕食者という困難に直面した頃だと考えられる。地上性の大型肉食獣が闊歩する疎林に暮らし、常に逃げ込める安全な樹上を確保できなかったために、ヒトは食物を採集する場所と食べる場所を分ける必要があったのではないか。
これがヒトの最初の食物革命である。
それはやがて脳を大きくし、社会性を高める方向へと進化を後押ししていく。
■参考文献
『家族進化論』第二章・第十七節 食物の分配と共食 山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)
『人類進化論——霊長類学からの展開』第六章 社会的知性とコミュニケーション 山極寿一(裳華房、二〇〇八年)
関連知識カード:(下巻)大脳化
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