イスラーム世界は東洋と西洋を結ぶ「中洋」

イスラーム世界とヨーロッパ世界を結びつけたのは地中海である。そのため、ヨーロッパ経済にとっての地中海貿易の重要性の相対的な低下をもって、イスラーム経済の衰退が主張されてきた。

しかし、これはヨーロッパ中心史観に基づく短絡的な議論である。イスラーム世界は東洋と西洋との間にある「中洋」であり、イスラーム世界にとって地中海は、ユーラシア貿易ルート、つまりシルクロードの終着点でしかない。

イスラーム経済にとって地中海ルートより重要なのは、ユーラシアルートであった。

参考文献:
ヨーロッパ覇権以前―もうひとつの世界システム』  J.L.アブー=ルゴド 佐藤次高ほか訳(岩波書店、2001年)
文明の生態史観(中公文庫)』  梅棹忠夫(中央公論新社、1974年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.2 市場経済における「イスラームの道」(歴史編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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