梅棹忠夫の『文明の生態史観』

このイスラーム世界の砂漠的な「風土」自然環境と後述する地理的立地に注目し、世界史を地理空間の大胆な組み直しとして示すことによって、独特な世界史理解を提示した試みが、梅棹忠夫の『文明の生態史観』である。

梅棹の議論は唯物史観に代わる生態史観の主張であり、環境(地理)決定論との批判はあるが、そこにみられる単線的進化論的発展径路への批判、「地域」や「文明」を単位とした一国史観を超える世界史叙述の試み、環境や地理への関心、分析手段としての「比較」におけるアジアからの視点において、歴史研究における新機軸を示した。

参考文献:
文明の生態史観(中公文庫)』  梅棹忠夫(中央公論新社、1974年)


 

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