イブン・ハルドゥーンの「都会の文明」

これに対して、「都会の文明」とは、経済社会を支える諸々の技術・文化装置を「社会的結合」原理とする文明であり、そこでの「社会的結合」原理こそ、経済の原理である。

かくて、歴史の変遷を、粗野ではあるが連帯意識に基づく活力にあふれた「田舎の文明」と、洗練されてはいるが連帯意識を喪失した脆弱な「都会の文明」との間の循環的交代でもって説明するイブン・ハルドゥ-ンの文明論が成立することになる。

参考文献:
文明としてのイスラム―多元的社会叙述の試み』 第7章:文明  加藤博(東京大学出版会、1995年)
イブン=ハルドゥーン(講談社学術文庫)』  森本公誠(講談社、1980年)
歴史序説 3(岩波文庫)』  イブン ハルドゥーン 森本公誠訳(岩波書店、1978~87年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック