危険な環境が人間に食物分配を促進させた

人間は類人猿よりも子どもの成長が遅いし、出産間隔が短いので、マーモセット類のようにたくさんの子どもを抱えるという特徴を持っている。これらの特徴が共同保育や食物分配を助長したと考えられる。さらに、森林を離れて食物が分散し、肉食獣に狙われやすい危険な草原へ出て行ったことが、食物分配を促進し、共感意識を高めたに違いない。


■参考文献
『家族進化論』第二章・第十八節 平等な社会  山極寿一(東京大学出版会、二〇一二年)

「こころの起源―共感から倫理へ」  山極寿一(『<こころ>はどこから来て、どこへ行くのか』所収 [一五五~二〇〇ページ]  河合俊雄・中沢新一・広井良典・下條伸輔・山極寿一(岩波書店、二〇一六年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック