生存を脅かすような危険な出来事など、情動応答を強く誘発するような事象は、一回の経験でも非常に強く記憶されます。
この場合には、出来事の情報処理を担当する神経回路A→Bに加えて、情動の情報処理を担当する神経回路C→D(扁桃体など)が強く活性化します(図19)。
情動の神経回路C→Dは、出来事の神経回路A→Bにおけるシナプス伝達を強化し、その出来事に関する記憶痕跡を形成しやすくすると考えられます。さらに神経回路A→Bと神経回路C→Dの間の結合が強まることで、出来事に関する記憶と、情動が連合して記憶されると考えられます。
■参考文献(本のタイトルをクリックしてアクティブラーニング)
『記憶力を強くする―最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)』 池谷裕二(講談社、二〇〇一年)
『記憶と情動の脳科学―「忘れにくい記憶」の作られ方 (ブルーバックス)』 ジェームズ・L・マッガウ 久保田競・大石高生監訳(講談社、二〇〇六年)原著二〇〇二年
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