自然の恵みとは無関係な地代概念

古典派経済学において労働が価値の源泉であるという考え方が主流になるにつれて、自然の恵みが軽視されていく。

この考え方を完成させたのがリカードである。彼は、『経済学および課税の原理』において、「地代が支払われるから穀物が高価なのではなく、穀物が高価だから地代が支払われる」と述べた。※I):『経済学および課税の原理』(岩波文庫、一九八七年)

もし「誰でも自由にできる豊富な分量の土地」が存在するなら、そもそも地代は発生しない。

地代は、劣悪な土地に労働が加えられ耕作が可能になることによって、それよりも肥沃な土地をたまたま保有し、より生産費用の少ない生産者に与えられるものと考えたのである。II):リカードは、「あらゆる物の価値は、その生産の難易に比例して、言い換えれば、その生産に使用される労働量に比例して騰落する」という労働価値説に従い、「以前は人間がやった仕事を自然の動因にやらせるや否や、こういう仕事の交換価値はそれに応じて下落する」とも述べている。(『経済学および課税の原理』(岩波文庫、一九八七年))

■参考文献『経済学および課税の原理』  デイヴィッド・リカード 原著一八一七年


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I. :『経済学および課税の原理』(岩波文庫、一九八七年)
II. :リカードは、「あらゆる物の価値は、その生産の難易に比例して、言い換えれば、その生産に使用される労働量に比例して騰落する」という労働価値説に従い、「以前は人間がやった仕事を自然の動因にやらせるや否や、こういう仕事の交換価値はそれに応じて下落する」とも述べている。(『経済学および課税の原理』(岩波文庫、一九八七年))