そして、個々のイスラーム教徒の存在が神との契約に根拠をおく以上、イスラーム教徒からなる共同体であるウンマは、同時に神がその存在を認めた「神の共同体」でもある。この「神の共同体」の成員であるイスラーム教徒が守るべき神の啓示からなる規範群、それがシャリーア、つまりイスラーム法である。シャリーアの本来の意味は、「水場へ至る道」*である。
参考文献:
『文明としてのイスラム―多元的社会叙述の試み』 第4章:権力・第2節:イスラム政治は「法による統治」 加藤博(東京大学出版会、1995年)
『増補新版 イスラームの構造 タウヒード・シャリーア・ウンマ』 黒田寿郎(書肆心水、2016年)
* 砂漠で水場に至る道を知らなければ死んでしまう。ちょうどそのように生命の本源である神のもとへと導く規範、生きることを知る道がシャリーア、つまりイスラーム法である。人間の社会を、社会としてなりたたせている価値観、規範群、制度がその社会を取り囲むし自然とともにあることを忘れないようにしよう。参照:「第3巻第三章第二節:生態・立地環境」[編集部]
□参照知識カード:
第3章 多系的経済発展径路の模索
★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。
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