権力への従属?

しかし、〝欲望の中心点〟を見出せという提言には、多くの現代思想家から次のような批判がなされるかもしれない。

「わたしたちの欲望は、実はシステム(権力)によって植えつけられたものである、それゆえ欲望の中心点を見出せなどということは、システム(権力)への従属を説くことにほかならない」と。※I):引用 『監獄の誕生』(新潮社、一九七七年)

■参考文献
『監獄の誕生―監視と処罰』  ミシェル・フーコー※
一九七五年
『知への意志 (性の歴史)』  ミシェル・フーコー 一九七六年

※:フランスの哲学者(一九二六年~一九八四年)。一九四三年バカロレア(大学入学資格試験)に合格したが、進学先について父と対立。父は医学部を奨めるが、本人は文学を希望した。結局、母の説得に父が折れるというかたちで、文学部に進学した。
その後フーコーは高等師範学校(Ecole Normale Supérieure)において、自殺未遂を起こすが、当時哲学の復習教師をつとめていたルイ・アルチュセールが、医務室をフーコーの個室として手配する措置を取るなどして取り計らった。その甲斐かいあって、フーコーは危機を乗り越えた。アルチュセールは、フーコーに「精神分析によってではなく、仕事によって病気を乗り越えるように」と助言したという。[編集部]


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I. :引用 『監獄の誕生』(新潮社、一九七七年)