ワクフ物件の改装・改築のための資金は、ワクフの運営によって貯めてきた内部資金だけに頼るのではなく、イスラーム金融による資金調達が行われた。そこでは、スクークと呼ばれるイスラーム型の大規模資金調達方法が採用された。このしくみでは、まず銀行がワクフ再生プロジェクトへの出資者を募る。集めた資金をもとに老朽化したワクフ物件を改築・移築し、再生後の物件に入ってくる儲けの一部を出資者にも分配したのである。
参考文献:
「現代イスラーム経済の挑戦―ポスト資本主義時代の新たなパラダイムのために」長岡慎介 『秩序の砂塵化を超えて―環太平洋パラダイムの可能性』221-248頁、 村上勇介・帯谷知可編(京都大学学術出版会、2017年)
Shinsuke Nagaoka “Revitalization of Waqf in Singapore: Regional Path Dependency of the New Horizons,” Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies 8, pp. 4-18, 2016.
★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。
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