シンガポールのワクフ

21世紀に入り、こうした過去の遺産に成り下がったワクフの役割を見直して再生させようとする取り組みが始まっている。その先駆けは東南アジアの小国シンガポールである。

シンガポールのムスリムは、人口比約15%とマイノリティーであるが、19世紀半ば以降、この地を拠点にビジネスを営んだムスリム商人たちが相次いでワクフを設定し、それが現在まで受け継がれている。しかし、他の国と同じようにシンガポールのワクフも、設定から150年以上が経過し、物件は老朽化が進み、商業施設からの賃料や儲けはほとんど出なくなっていた。

参考文献:
「現代イスラーム経済の挑戦―ポスト資本主義時代の新たなパラダイムのために」長岡慎介 『秩序の砂塵化を超えて―環太平洋パラダイムの可能性』221-248頁、  村上勇介・帯谷知可編(京都大学学術出版会、2017年)
Shinsuke Nagaoka “Revitalization of Waqf in Singapore: Regional Path Dependency of the New Horizons,” Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies 8, pp. 4-18, 2016. https://www.semanticscholar.org/paper/Revitalization-of-Waqf-in-Singapore%3A-Regional-Path-Nagaoka/88c49b70261c9a09ef9f31ee4078e05df790582d

 

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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