子殺しを避けるため、単独で移籍するヴィルンガの母ゴリラ

この子殺し行動の影響のためか、ヴィルンガでは普段のメスの移籍のパターンもカフジと異なる。元の群れに成熟オスがいる場合、メスは自分の子供を群れに置いて、単独で移籍することが多いのだ。I):一方で、子殺しがほとんど起きないカフジのヒガシローランドゴリラでは、メスが移籍する際に自分の子と一緒に移籍することも多い。この傾向は、元の群れに父親である成熟オスがいても変わらない。

ヴィルンガの母ゴリラたちは、子供と一緒に群れを移れば移籍先のオスに子供を殺されてしまうので、子供を守ってくれる父のもとに残し、単独で移籍するのだろう。


■参考文献
『霧のなかのゴリラ―マウンテンゴリラとの13年』  ダイアン・フォッシー 羽田 節子・山下恵子訳(平凡社 二〇〇二年)原著一九八三年

『ゴリラ 第二版』第五章 変化する社会  山極寿一(東京大学出版会、二〇一五年)

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I. :一方で、子殺しがほとんど起きないカフジのヒガシローランドゴリラでは、メスが移籍する際に自分の子と一緒に移籍することも多い。この傾向は、元の群れに父親である成熟オスがいても変わらない。