聖俗一元論のイスラーム経済

以上の議論から確認すべきこと、それはイスラームという宗教が原理的にみて近代資本主義とは相いれない性格を持っていることである。

それにもかかわらず、イスラーム経済の是非を聖俗二元論に立って議論するならば、議論は近代資本主義に対してイスラーム経済を守るという「護教」論の枠組みから抜けだせない。

必要なのは、聖俗二元論ではなく、聖俗一元論にたって、イスラーム経済を、その論理に従って理解することである。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第二部第3章:所有観念  加藤博(書籍工房早山、2010年)
「イスラームの「教経統合論」―イスラーム法と経済の関係をめぐって」小杉泰 『アジア・アフリカ地域研究 1号、2001年


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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