物質的なもののみを「富」とする古典派経済学

「生産は効用の創造である」とするセーの考え方は、古典派経済学の主流となるマルサスやリカードには受け入れられなかった。

マルサスは、『経済学における諸定義』において、富とは「人間に必要な、有用な、または快適な物質的対象物であって、それを占有したり、生産したりするのに一定の人間の努力を要したもの」であるとした。※I):引用 『経済学における諸定義』(岩波文庫、一九七七年)

マルサスとライバル関係にあったリカードも、富を物質物に限るとする点には異論はなかった。※II):リカード 「マルサス評注」(『経済学原理』(岩波文庫、一九六八年)所収)

■参考文献『経済学原理』  トマス・ロバート・マルサス※III):英国の古典派経済学者(一七六六~一八三四年)。古典学派に属するが、地代論・恐慌論などの理論や政策ではリカードらと対立した。人口は幾何級数的に増加するが食料は算術級数的にしか増加しないため人口増加に歯止めがかからざるを得ない(マルサスの罠わな)と主張した『人口論』で有名。
また、『経済学原理』で展開された有効需要論は後にケインズによって高く評価された。
 原著一八二〇年
『経済学における諸定義』  トマス・ロバート・マルサス 原著一八二七年マルサス
『人口論』   トマス・ロバート・マルサス 原著一七九八年


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I. :引用 『経済学における諸定義』(岩波文庫、一九七七年)
II. :リカード 「マルサス評注」(『経済学原理』(岩波文庫、一九六八年)所収)
III. :英国の古典派経済学者(一七六六~一八三四年)。古典学派に属するが、地代論・恐慌論などの理論や政策ではリカードらと対立した。人口は幾何級数的に増加するが食料は算術級数的にしか増加しないため人口増加に歯止めがかからざるを得ない(マルサスの罠わな)と主張した『人口論』で有名。
また、『経済学原理』で展開された有効需要論は後にケインズによって高く評価された。