占有による所有権の発生

ワダウ・ル・ヤドという言葉がある。文字通りには、「手を置くこと」である。「手を置くこと」によって生じる権利がハック・ワダウ・ル・ヤドであり、占有権と訳されている。

そして、占有によって所有権が発生するが、そのためには、ただ「手を置く」だけでなく、手を動かす、つまり労働を加えなければならない。かくて、労働の投下を介して、「占有権」は「所有権」に転化する。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第二部第3章:所有観念  加藤博(書籍工房早山、2010年)
イスラーム財産法の成立と変容』  柳橋博之(創文社、1998年)


 

★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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