プロトタイプとしての近代以前の商取引手法

イスラーム中世史家のアブラハム・ユドヴィッチ(1933~)が銀行家なき金融システム(Bankers without Banking)と表現したように、近代以前のイスラーム世界では、両替商や地元の富豪、航海商人など様々な人々がお金の貸し借りに関わることで、その繁栄を支えていた。イスラーム金融の開発の担い手たちが注目したのは、そこで使われていた手法であり、これらを1つの金融システムに再構築することで、イスラーム金融システムが現代世界に登場したのである。

参考文献:
「何が/誰がイスラーム金融を作るのか―理念と現実をめぐるダイナミズムと多様性」長岡慎介 『現代のイスラーム法』  アジア法学会編(成文堂、2016年)
Udovitch, Abraham Labe “Bankers without Banks: Commerce, Banking, and Society in the Islamic World in the Middle Ages,” in Center for Medieval and Renaissance Studies, University of California, Los Angeles. ed. The Dawn of Modern Banking. New Haven: Yale University Press, 1979

★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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