欲望が特定の権力様式を発生させる

ドゥルーズとガタリによれば、わたしたちはシステム(権力)によって欲望を植えつけられているというよりも、むしろそれ以前に、わたしたちの欲望それ自体が、そのようなシステム(権力)を可能しているという側面がある。※I):たとえば中世のような君主型権力が作動するためには、君主型権力による支配が欲望されていなければならない。近世のような規律訓練型権力が作動するためには、規律訓練の支配が欲望されていなければならない、ということだ。[編集部]

國分功一郎が指摘するように、ドゥルーズ=ガタリは、「どんな権力様式であろうと一定の欲望のアレンジメントを前提にしている」ことを繰り返し強調した。それはつまり、わたしたちの欲望は、「様々な要因によって決定されて」おり、そしてその欲望の〝アレンジメント〟(組み合わせ)が、ある「特定の権力様式を発生させる」ということだ。

■参考文献
『アンチ・オイディプス――資本主義と分裂症』 ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ 原著一九七二年
『千のプラトー――資本主義と分裂症』 ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ 原著一九八〇年
『ドゥルーズの哲学原理』  國分 功一郎 二〇一三年

★この記事はiCardbook、自由の相互承認 —— 人間社会を「希望」に紡ぐ —— (下)未来構築の実践理論』を構成している「知識カード」の一枚です。

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I. :たとえば中世のような君主型権力が作動するためには、君主型権力による支配が欲望されていなければならない。近世のような規律訓練型権力が作動するためには、規律訓練の支配が欲望されていなければならない、ということだ。[編集部]