観点が変われば「事実」も変わる

観点が変われば、「事実」認識もまた変わる。サンデルやテイラーが言うように、わたしたちは「事実」的に何らかの共同体に埋め込まれた存在である、と言うことも可能だが、観点を変えれば、わたしたちは「事実」的に狭い共同体を超え出た地球市民である、と言うことも可能なのだ。I):ニーチェは言う。「まさしく事実なるものはなく、あるのはただ解釈のみ」と。(『権力への意志(下)』 第三書・Ⅰ 認識としての権力への意志 (ちくま学芸文庫、一九九三年))

となると、したがって、共同体の「共通善」ではなく、超共同体的な普遍的「正義」の理念を打ち出すべきである、という理屈も成立することになる(もちろんこの理屈も、実際には存在から当為を導出するという誤りを犯したものだ)。


■参考文献
『権力への意志(下)』  フリードリヒ・ニーチェ 原著一九〇一年

 

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I. :ニーチェは言う。「まさしく事実なるものはなく、あるのはただ解釈のみ」と。(『権力への意志(下)』 第三書・Ⅰ 認識としての権力への意志 (ちくま学芸文庫、一九九三年))