食性の違いが類人猿の分布を決める

そして、この採食戦略の違いが両者の分布域の違いに結び付くのではないだろうか。熱帯林が減少した氷期に、葉と樹皮に頼るゴリラ祖先は、果実が年中少ない高い山の上へと分布を広げた。

それに対し果実と動物に頼るチンパンジー祖先は、果実が少ない時期も餌となる動物が比較的得られる疎開林やサバンナへと進出したのだと考えられる。


■参考文献
『ゴリラ 第二版』第六章 二つの類人猿——ゴリラとチンパンジー  山極寿一(東京大学出版会、二〇一五年)

★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(上)「社会」の学としての霊長類学』を構成している「知識カード」の一枚です。

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