金融システムの完全イスラーム化

1980年代には、国内の金融システムを完全にイスラーム化する試みがパキスタン、イラン、スーダンで見られた。これらの国々ではイスラーム主義を掲げる政権のイニシアティブによる上からの金融取引の完全無利子化が行われた。

しかし、いずれの国も経済状況の悪化によって、その試みはうまくいかず、資本主義が支配的な現代世界で新しい経済システムを立ち上げることの難しさを知らしめるという教訓を残した。

参考文献:
「イランにおける金融政策の現状とイスラーム金融」鈴木均 『世界に広がるイスラーム金融―中東からアジア、ヨーロッパへ』  濱田美紀・福田安志編(アジア経済研究所、2010年)
山中一郎「イスラーム金融制度の理念と実態―パキスタンのケース」『アジア経済』 29(11)、pp. 2-24、1988年

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



【紙派のかたはこちらをどうぞ】

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック