経済行動を喚起させる源泉としてのビジョン

イスラームに具体的な経済プログラムはない。しかし、イスラームは、ほかの世界的な宗教や文明にはみられない強烈で豊かな経済についてのビジョンを持っている。それは、人を経済行動に駆り立て、動員するイデオロギーとして機能してきた。このビジョンが時代と地域を超えたイスラーム経済の「似た性格」をもたらした。また、歴史的にみて、イスラームが支配的であった前近代のイスラーム世界では、同じビジョンの共有もあって、アジア、アフリカ、ヨーロッパの三つの大陸にまたがる広域な経済圏が形成された。

参考文献:
イスラム経済論―イスラムの経済倫理』 第一部第3章:イスラム金融をどう理解するか  加藤博(書籍工房早山、2010年)


★この記事はiCardbook、『イスラーム世界の社会秩序 もうひとつの「市場と公正」 Vol.1 イスラーム経済社会の構造(理論編)』を構成している「知識カード」の一枚です。


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