古典派経済学においては、物質的な財のみが富を構成するという考え方が主流であった。※I):古典派経済学とは、一七七六年に執筆されたアダム・スミスの『国富論』によって経済学が成立してから一八七〇年代の「限界革命」まで続いた、労働価値説を中核とする経済学を指す。
この考え方の萌芽は、経済が農業を中心としていた18世紀に育まれた。
その後、産業構造の変貌に伴い、生産要素と生産物、この両方から物質的側面を捨象する方向で当時の経済学は構築されていき、これと引き換えに環境が与える物質的な制約を認識しにくい構造の、経済学は学問となっていった。
■参考文献
『環境と経済を再考する』 第一章・第三節 従来の経済学の世界観の生成過程 倉阪 秀史 二〇〇六年
『入門 経済学の歴史』 根井 雅弘 二〇一〇年
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註
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