サブ・プライムローンと金融危機の始まり(その2)

それは次のようなカラクリである。万一、ローンを返済できなくなった場合、投資銀行は借り手に住宅を売却させる。住宅バブルによって住宅価格は上昇を続けているため、この売却によって投資銀行は、元本だけでなく利子も十分に回収できるのである。さらに、投資銀行は、住居を失った低所得層にもう一度住宅ローンを提供し、同じように住宅を売却させることで利益を手に入れる。住宅価格の上昇が続く限り、このサイクルを繰り返すことで投資銀行はデフォルト・リスクを抑えながら巨万の富を手に入れられるのである。

参考文献:
資本主義は嫌いですか―それでもマネーは世界を動かす(日経ビジネス人文庫)』  竹森俊平(日本経済新聞出版、2014年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(上) 資本主義の危機とイスラーム経済の登場』を構成している「知識カード」の一枚です。



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