利己と利他の二項対立

利己的行動と利他的行動の関係をめぐる議論では、両者を相容れない単純なトレードオフの関係として捉えることが多い。先進国と途上国をめぐる諸問題(貿易、環境問題)も、税制をめぐる問題(受益と負担のバランス)も、自分の得は相手の損、自分の損は相手の得という二項対立的な考え方によって議論が行き詰まり、ときには激しい対立を引き起こしている。私たちが進むべき道は、こうした考え方から脱却し、利己的行動も利他的行動もともに両立しうるウィンウィン(Win-Win)の関係を模索することなのではないだろうか 。

参考文献:
「「経済学的発想」と「反経済学的発想」の政策論―マルクス経済学から」松尾匡 『経済政策形成の研究─既得観念と経済学の相克』  野口旭編(ナカニシヤ出版、2007年)

 


★この記事はiCardbook、『資本主義の未来と現代イスラーム経済(下) 金融資本主義からの脱却と「利他利己」の超克』を構成している「知識カード」の一枚です。



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