戦争の歴史を終わらせるための原理

しかしわれわれは次のようにいうべきだろう。

当然のことながら、人間の歴史そのものが停止することはあり得ない。しかし、もしもわたしたちが「承認のための生死を賭した戦い」の歴史を終わらせたいのであれば、そのための根本条件は、まず何をおいても「自由の相互承認」の原理を共有し、これに基づいて社会を作っていくほかないのだと。※

※:「改宗か、さもなくば征服」というアウグスティヌス以来の正戦概念の発動をいかにして回避できるかという問題意識は、そのまま異文化の対立をどのようにして、「文明の衝突」とすることなく、対話の可能性へ拓いていくかという、現代のわれわれにとってアクチュアルな問題とも密接に連なっている。

■参考文献
『人間の未来─ヘーゲル哲学と現代資本主義』  竹田 青嗣 二〇一三年
『ヘーゲルにおける理性・国家・歴史』  権左 武志 二〇一〇年

★この記事はiCardbook、『自由の相互承認—— 人間社会を「希望」に紡ぐ ——(上)現状変革の哲学原理』を構成している「知識カード」の一枚です。

◎iCardbookの商品ラインナップはこちらをクリック