今西の方法論によるニホンザルの研究が発表され始めた当初、サルを名付けて行動を記述するという彼の方法は、「擬人主義を招く悪法」として、西洋の研究者から厳しく批判された。しかしその後、この「個体識別による社会行動研究」という日本発の方法論は徐々に認められ、現在では動物行動学の標準的手法となっている。
■参考文献
『サル・ヒト・アフリカ 私の履歴書』 伊谷純一郎(日本経済新聞社一九九一年)
『心の窓―チンパンジーとの三〇年』 ジェーン・グドール 高崎和美・高崎浩幸・伊谷純一郎訳(どうぶつ社、一九九四年)原著一九九〇年
『サルとすし職人―<文化>と動物の行動学』 フランス・ドゥ・ヴァール 西田利貞・藤井留美訳(原書房、二〇〇二年)原著二〇〇一年
山極寿一, 2006. 「ゴリラの人付け、人のゴリラ付け」、心理学評論, 49(3): 403-413.
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