動物社会学と動物への「名付け」

第二次世界大戦直後、京都大学の講師であった今西錦司は学生とともに、ニホンジカやウマ、ウサギなどを対象とした「動物社会学」を創始した。

今西らは動物の個体を識別してそれぞれ名前をつける「個体識別法I):行動生態学の調査手法のひとつ。個体の生活史や社会行動などの研究のために、対象生物の個体を外見によって区別する。これにより、個体ごとの記録を取り、群れの中での各個体の違いを明らかにできる。[編集部]
」を考案したが、この方法は当時の西洋の動物行動学者からは「動物の擬人化につながる」として、厳しく批判された。



■参考文献
『サル・ヒト・アフリカ 私の履歴書』  伊谷純一郎(日本経済新聞社、一九九一年)

『心の窓―チンパンジーとの三〇年』  ジェーン・グドール 高崎和美・高崎浩幸・伊谷純一郎訳(どうぶつ社、一九九四年)原著一九九〇年

山極寿一, 2006. 「ゴリラの人付け、人のゴリラ付け」、心理学評論, 49(3): 403-413.

「人類進化論研究室の沿革」京都大学大学院理学研究科人類進化論研究室ウェブサイト
http://jinrui.zool.kyoto-u.ac.jp/history.html

松沢哲郎.2009.「霊長類学60年と今西錦司:世界の霊長類学における日本の貢献」霊長類研究.24:187 − 196, 2009
https://www.jstage.jst.go.jp/article/psj/24/3/24_3_187/_pdf [編集部]

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I. :行動生態学の調査手法のひとつ。個体の生活史や社会行動などの研究のために、対象生物の個体を外見によって区別する。これにより、個体ごとの記録を取り、群れの中での各個体の違いを明らかにできる。[編集部]