暴力の霊長類的起源

第一章で説明したように、ゴリラの胸たたきは攻撃行動ではなく、好奇心や遊びの誘い掛けに用いられる多義的な行動だ。にもかかわらず、ゴリラは長らく暴力的な動物だと誤解されてきた。

このような霊長類の暴力性に関する誤解は多い。そして、霊長類に対する誤解は私たち人類の進化の歴史への誤解を招く、という結果を引き起こしかねない。


■参考文献
『マウンテンゴリラ』  ジョージ・B・シャラー 福屋正修訳(思索社、一九七九年) 原著一九六三年『霧のなかのゴリラ——マウンテンゴリラとの13年』  ダイアン・フォッシー 羽田節子・山下恵子訳(早川書房、一九八六年) 原著一九八三年

『暴力はどこからきたか——人間性の起源を探る』第一章 攻撃性をめぐる神話  山極寿一(NHKブックス、二〇〇七年)

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★この記事はiCardbook、『人類の社会性の進化(Evolution of the Human Sociality)(下)共感社会と家族の過去、現在、未来』を構成している「知識カード」の一枚です。

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