現象学=欲望論的アプローチ

何が「道徳・義務」であるかを知ることは、そこに「欲望・関心」の次元の観点を自覚的に組み込まない限り、決してできないことである。

自らの道徳・義務論もまた、原理的には自身の何らかの欲望や関心から構成されたものなのだ。

とするなら、わたしたちは、自らの〝道徳的信念〟を素朴に表明し合うのではなく、その〝信念〟の底にある欲望・関心の次元にまで遡ってみなければならない。

これを「現象学=欲望論的アプローチ」と呼ぶことにしよう。

■参考文献
『「自由」はいかに可能か―社会構想のための哲学』 第四章・第一節 ロールズ  苫野 一徳 二〇一四年


★この記事はiCardbook、『自由の相互承認 —— 人間社会を「希望」に紡ぐ —— (上)現状変革の哲学原理』を構成している「知識カード」の一枚です。